第2章 土方十四郎:俺だけを(甘裏)完結
いつまでも振り返らず無言の俺に、引っ張っていた裾から手を離した
バンッ!
「っ!」
襖が大きく揺れた
押し入れにはギュウギュウに詰められた布団があるから良かったものの、スカスカだったら襖は外れていただろう
振り返るなりの顔横へ両手をつき閉じ込める
驚いて目を見開き何がなんだかわからないといった様子だ
困惑が見て取れた
俺にもなんだかわからない
ただわかることは
今この俺の胸中はドロドロとしたもので支配され、気持ちわりぃってことだ
一体何なんだ
お前が俺以外の男と一緒にいるのを想像するだけで、ドス黒い何かが俺を支配していく
ただでさえ、いつも周りに男が絶えないという状況で
それが恋愛感情であろうが友情であろうが男といるのを見るだけで気分がわりぃってのに
明らかに好意を抱いている万事屋がに付き纏い肩を抱きニヤニヤしていたり
団子屋の常連客がデレデレした厭らしい目で話しかけていたり
そんなのを毎日毎日見ているだけでも嫌になる
その上、今度は俺の知らない過去の男共にまでこんな想いしなくちゃなんねぇのかよ
俺だけ
俺だけのものになんねぇのか