第2章 土方十四郎:俺だけを(甘裏)完結
「は?」
「ちょうど一部屋空いてますし、ついでに少し横に…」
でも何でこんな人気のない所で部屋が埋まってるんだろう?と不思議そうに消えたパネル達を見る
「駄目だ」
「でもきっと室内に電話ありますって。内線と外線が使える感じのやつ。土方さん長距離の運転でお疲れだと思いますし、少し仮眠もされたら…」
「駄目だ」
「もちろんお支払いは私がします。ご迷惑かけた原因ですから」
「駄目だっつってんだろが!」
ビクッと怯えさせてしまった
「わり…怒鳴っちまって。とにかく仮眠も必要ねぇから」
「いえ、私がしつこかったと思います。すいませんでした」
しゅんと俯いて肩を落とす
明らかに落ち込ませてしまったのが俺だとわかって慌てて適当にフォローした
「あ、あれ?やっぱ肩も凝ったしたまには総悟みたいに惰眠貪るのも有りかも?電話で連絡してから迎え来んのも時間かかるだろうし?」
肩を揉むようなジェスチャーでわざとらしく言った
「そうですよ!いつも真面目過ぎるんです、土方さんは。私のせいでこんな事になりましたが、休んでください!」
「一般市民を守るのが俺達の仕事だ。だからお前守んのもその一つだ」
なんてカッコつけてみた
「土方さーん!エレベーターこっちです!」
すでにパネルのボタンを押し、出てきたルームナンバーが書かれた紙を片手にコッチコッチ!と手招きする
「はぁーーーーーっ…」
少しは男と二人きりでこんなとこ入ってんだから気にしろよ
俺だから安全牌と思ってる?
俺は男に含まれてないのか?
やや落ち込みがちにスゴスゴとエレベーターへと乗り込んだ