第2章 土方十四郎:俺だけを(甘裏)完結
「さあねぇ…なんでも昔そのテレビを見た時一緒に居た相手と分かち合えたら楽しいんだろうけど…それは無理だし一人でってさ」
「「…」」
女将の言うその相手は…昔の男?
ひろ乃も何かを考えているのか黙りこくっている
「で?海へ?」
「おそらくね…」
「ふーん、あっそ。また来るわ」
「下手に探るんじゃないよ。大人になりゃ誰だって知られたくない過去の一つや二つあるもんさ」
「わかってらぁ。俺だって…」
「なら、いいよ。余計なこと言わず会うだけにしときな」
「俺はまだ追っかけて会いに行くなんて一言も言ってねぇし〜?」
おちゃらけた風に言ってみたが、きっと女将にはお見通しなんだろう
ヒラヒラと後ろ向きで軽く手を振り銀時は団子屋を後にした
万事屋という職業がら簡単にの足取りは掴めた
駅で電車に乗り込む彼女を見かけたオッサンによると
「何か思い詰めた様子だったぜ、その姉ちゃん。ありゃあきっと最後の場所探しに出かけたんだよ」
そりゃ言い過ぎだろ、とわかってはいるものの
なんとなく嫌な予感がしていた銀時はすぐに券売機へと向かう
そしてあることに気づく
「金が無ぇ……」
ズーーンという効果音が聞こえてきそうな程落ち込んでいると、更に追い打ちをかけるかのように銀時の大嫌いな真選組パトカーが現れた
「おい、万事屋。どこに隠した。拉致監禁容疑でしょっ引いてやる」
「ああん?今俺はお前のニコチンジョークに付き合ってる暇なんてないんだよ。300円やるからどっか行け。いや、むしろ300円くれ。それでも足りねーから三千円くれ」
「はああ??なんの義理あってテメーに三千円もやらなきゃなんねぇんだよっ!!」
助手席の窓から身を乗り出して食って掛かってくる
「こんにちは、万事屋の旦那。どこかお出かけですか?」
「よぉ、ジミーくん。おたくの上司マヨマヨ言ってて何言ってるかわかんないから、とりあえず三千円置いて連れ帰ってくんない?」
「山崎ですよ、普通に呼んでください。ていうかなんで三千円??」
「三千円無いとんとこ行けねぇの」
「え!?さんの居場所わかるんですか!?良かったですね!副長!!」
「はああ???何が???べべべ別に良くねぇし??俺が探してたわけじゃねぇし??」