第1章 坂田銀時:俺だけを(ギャグ甘裏)完結
連れて来られたのは団子屋の近くにある公園
そんなに広くもないため、寝床確保が難しいのか長谷川さんは滅多に来ない公園だ
「はいこれ。これで良かったですか」
頷く俺を見て彼女は微笑んだ
もらったココアオレを一口飲むとほっこりする
ベンチに二人並んで座り、彼女もまた自販機で買った缶コーヒーの蓋を開け一口飲んだ
「…銀さん、元気出してください」
「…」
俺の顔を不安げに見つめてくる
可愛いなぁ…
可愛すぎて直視できなくなってきた俺は視線をそらして足元を見た
はあ…ため息がでるわ
何回言うんだとか言わないでくれ
だって可愛いんだから仕方ねえじゃん
彼女はという名で、いつも俺が行く団子屋に半年ほど前から働いている
路地裏にあるその団子屋は立地条件が良くないため、あまり流行っている感じではないがとても俺好みの味だ
まあ…俺好みなのは味だけではなく彼女も、なのだが
彼女と俺とはなんだかんだあったが(なんだかんだは長くなるので省略)
それなりに仲良くなった
道端で出会うとお互いに手を振り合い、時間がある時にはちょっとお茶したりそのまま飲みに行くこともあった
たまーにだけどね
毎回誘ったら気持ち悪がられたり?
断られたりしたら怖いし?
ショックで立ち直れないし?
だから不自然じゃない程度にさりげなーく…ね
そう、俺から誘ってる
彼女から誘われたことはない…一度もない
泣かないよ!男の子だもん!
あ…やっぱ悲しい…
て、そのが俺を誘ってくれた
そうだ!今俺を誘ってくれてるんじゃないか
何故こんな嬉しいことに気付かなかったんだ!
馬鹿か俺は!
と急に嬉しさがこみ上げてきた俺は、俯いていた顔を上げ今度はじーんと噛み締めるかのように空を仰いだ
「銀さん?」
「ん?」
「今は…その…辛いかもしれないけど。でも…でもね、新しく始められたってことは、また新しく始められるってことじゃないかな?」
は真剣な瞳で俺を見つめてそう語りだした
「私ね、銀さんが新しく始められたってことが良かったっていうか嬉しいっていうか。だってそうじゃない?もう…二度と傷つきたくない…ううん、もうそういうのは必要ないみたいな…そんな感じだったから」