第1章 坂田銀時:俺だけを(ギャグ甘裏)完結
身体より足の震えが思ったよりもひどく、立っているのもやっとという状態だったをお姫様抱っこしてアパートの2階まで連れて行った
恥ずかしい、重たいから嫌だと震えながらも遠慮していたが聞こえないふりをして一気に抱え上げると観念して大人しくなった
おそらく震えで鍵もさせないだろうと代わりに開けた
ドアの前で彼女が部屋まで入るのを見届けよう立っていると
「汚いけど…入って?」
少し伏し目がちに袖を小さく掴み言ってくれた
今までアパートの下まで送ったことはあったが玄関どころか部屋まで入ったことなど一度もない
一人暮らしの女性の部屋にテレビ配線や電気交換など仕事以外で入ったことが記憶にない
とてつもなく緊張した
その上の部屋だと思うだけでブーツを脱ぐこともままならなかった
「あ、あれ?ちょ、なんで脱げねぇの」
ワタワタと取り乱しながら自分のブーツと格闘しているとクスクスと笑う声が聞こえた
「銀さん…ゆっくり脱いでね」
先ほどまでとは違う意味で肩を震わせ、口元を手で隠しながら笑う彼女を見てカァァーッとより一層恥ずかしくなってうまく脱げなかった
恥ずかしーっ
でも良かった…恥ずかしいけど彼女をひとまずさっきの感情から少しは開放できたのかもしれない
彼女は部屋に入りカチャカチャとお茶の用意をしてくれているようだった
俺はなんとか勝負をつけることのできたブーツを玄関の端に置き部屋へと入った
「お、お邪魔、しまーす」
「クスクスクスクス…はい、狭いですがどうぞ」
完全に声が上擦って目が泳いでいる俺を見てまた笑われた
恥ずかしーっ
だってだっていい匂いがするんだよ!
なんの匂い?の匂いなのこれ?
女らしい色味でコーディネートされた部屋
あんまりジロジロ部屋を見て変に思われたくない
そう思えば思うほどどこを見ればいいのかわからず目が泳ぐ
本当は見たい、あちこち見たい
「銀さん、こっち座ってこれ良かったら飲んでね」
「あ、ああ。サンキュ」
「ココアとか甘いのなくて。ミルクティーをお砂糖多めにしてみたんだけど大丈夫かな?」
「ん、うめぇ」
「そっか、良かった」
そう言い、もミルクティーをコクッと飲んでから「ほぅっ」と一息ついた