第11章 《裏》好きなんですけど【斉藤終】
奥の部屋に入ると、縁側でドーナッツを食べている信女ちゃんを発見した。
襖を開けた音でこちらに気付いた信女ちゃんは、
私を縁側に促した。
信女「久しぶり…ね夏希」
夏希「信女ちゃん、久しぶり。」
私はニコッと笑った。
すると、信女ちゃんは私にドーナッツをくれた。
夏希「え、いいの?ありがとう!」
そう言ってかぶり付く。
信女「…夏希って、恋はしてる?」
信女ちゃんはズバッと聞いてきた。
夏希「んー…。してる、かなぁ。」
信女「…そう。どんな感じなの?恋って。」
夏希「一見楽しそうに見えるけど、
ほんとはずっと苦しい。」
信女「そう…。夏希が好きなのって、新選組の無口な男…?」
夏希「えっ」
図星だった。
信女ちゃん分かったの…ね。
さすがだわ。うん。
夏希「そうだよ、私、終兄さんが好き。でも、向こうは気付いてないんだよねー…。」
信女「……でも、夏希は好きなの?」
夏希「ー…うん、例え向こうに嫌われてても、好きなまんまになっちゃう…。だって、好きだから…。」
信女「……でも夏希は、愛されてると思うけど……」
夏希「え?」
信女「なんでもない…。」
信女ちゃん、なんて言ったんだろ…?