第11章 《裏》好きなんですけど【斉藤終】
屯所を出て行き道を歩いていると、
私は考え事をしていた。
私が終兄さんにこんなにもべたべたなのは理由がある。
それは、終兄さんは鈍感過ぎること。
私のこの恋愛感情に気づきもせずに、
ただただ飛び付いてくる私を抱き留めるだけ。
夏希「ねぇ、気付いて…?」
そう呟くも、
終兄さんには聴こえない。
いくら終兄さんに"好きだ"と言っても、
いくら抱き着いても終兄さんは受けるだけ。
失恋したっていいから、終兄さんの気持ちが知りたいよー…。
見廻り組屯所
佐々木「おやおや、これは珍しい二人が届けてくれたんですね。」
見廻り組局長の佐々木さんは物珍しそうに私達を一瞥した。
夏希「信女ちゃんはいますか?」
佐々木「信女さんなら、向こうでドーナッツ食べてますよ。」
夏希「じゃあ、ちょっとお邪魔しまーす…。」
私はスッと向こうへ向かった。
後ろを振り向くと、佐々木さんと終兄さんが話をしていた。内容は聞き取れなかったが、
終兄さんの顔が赤くなっていたような気がした。