第2章 偶然の再会。
「っ……笠井……」
間違いない。
あの時の……あのくそガキが傷付けてしまった、東(あずま)先輩だ。
出来れば会いたくなかった。
なんて言えばいいのだろうか。
あの時はごめんなさい?
あいつが傷付けてしまってごめんなさい?
いや違う。
第一、私が何かしたわけではない。でも、それでも、こうして罪悪感に押し潰されるような気分になる。
「なになにー?なんか運命的な再会って感じー?」
相手の男の人の中のチャラい人が、お互いを見て固まる私たちを見て、冷やかす。そんなチャラ男を、隣にいる実里がきっ、と睨みつける。実里とは高校生の時からの友達だから、全て知っている。実里にあの事についてよく相談していたから。当時、先輩に恋心を抱いていた事も含め、全て。
「運命、ね」
運命なのか、必然なのか。
はたまた、偶然か。
出来れば偶然であってほしい。
こんな再会、誰が喜ぼうものか。
こんな合コン、誰が望んだのだろうか。
私にはどうしてこうも障害が多いのだろうか。どうして幸せになろうとしているだけなのに邪魔をされる?
気のせいだといいな。
この嫌な胸騒ぎも全て、気のせいだといいのに。