第2章 偶然の再会。
いつものように当たり前の毎日が続くものだと思っていた。でも、案外それは簡単に変わってしまうそうだ。そう、あの時みたいに、いつ何があるかなんて分からない。当たり前のようでいて、当たり前なんか存在しないんじゃないか、なんてたまに思ってしまう。
「ゆりー。おーい、起きてるー?」
「どうだろー。微妙なとこ」
「ばーか。返事返してる時点で起きてんじゃん。もう講義終わったんだけど」
またばかだって。
「そんなに私ってばかなのかな」
「急になに?変なもんでも食べた?」
友達の実里(みのり)が愛らしい顔を覗かせる。
くりっとした大きな目に、それを縁取る長いまつ毛。つやつやの髪に、少しふっくらとした頬。身長も小柄で、幼さがまだまだ残る容姿だ。
この、性格を除けば。
性格は喋り方から伝わる通り、かなりのさばさば系女子だ。私はよく、ビスケットみたいな性格だね、と言われる。つまりは、あっさりのさばさばした性格ってことだ。でも、実里は違う。実里は、乾燥したビスケット。大事だからもう一度言います。乾燥したビスケット。リピートアフターミー。乾燥したビスケット。それくらいさばさば……いや、さっばさばのばっさばさ。かなり男前な性格だ。
「んーん。食べてない。けど……」
「けど?」
「なんかザワザワのモヤモヤ」
私の言葉を聞いた実里が、腕を組んでふむふむと頷く。
「ははーん。さては、恋か」
「っ!?」
「おお、その反応……当たりか?」
恋?まさかの恋?
いやいやいや。
そもそも……
「誰に?」
「あたしが知るか」