第1章 柿原徹也 (甘)
「永倉ちゃん、少し休憩いれようか。」
あ、私なにしてんの
『いえ、だ、大丈夫です!もういちど...』
「やめときな。」
『え?柿原さん...すみません!私のせいで...次はちゃんと...』
「いいから、一度休憩してきな。」
『あ...』
怒らせちゃった
は~私本当にダメだな...
『はぁ~私、なにやってんだろう。』
少しでも柿原さんの迷惑にならないようにって
台本も毎日読んできたのに...
いざ、柿原さんが目の前に来て、
台詞なのに好きって言われただけでドキドキして、
自分の台詞言えなくって、
結局...柿原さんに迷惑かけて...
しかも、怒らせちゃったし
『最後のチャンスなのに...』
「最後のチャンス?」
『え?!わ!か、柿原さん!!』
え、嘘!今の聞かれてた?!
「なにが最後のチャンスなの?」
『いえ!なんでもないです!それより迷惑たくさんかけて本当にすみません!』
あ~もう~最悪だ~
「別にいいよ。それより...」
『よくないです!!私なんかが柿原さんの足引っ張っちゃだめなんです!』
「ダメじゃないでしょ?失敗は誰にだってあるもんだよ?」
『ダメ、なんで、す...』
私なんかがお荷物になっちゃ...
「え、ちょ、愛梨ちゃん?泣かないで?」
『え、あ、す、すみません!』
「あ、愛梨ちゃん!」
最悪だ!最悪だ!
足まで引っ張った上に、
柿原さんの目の前で泣くなんて...最悪だ
『ふぇ、も、う、チャンスなんてない、な。』
まぁ、当たり前だよね
これだけ迷惑かけたのに
チャンスなんてあるわけない
やっぱり私には手の届かない存在なんだ
もう柿原さんに想いなんて伝えられない
『かき、は、ら、さん...好きでした。』
ばいばい
私の片思い
「今の本当?」
『...え?』
「ねぇ、愛梨ちゃん、俺のこと好きなの?」
柿原さん!!?!!
『あ、ちが、その!』
聞かれた
1番伝えたかった言葉...
「違うことないよね?俺のこと好きだったんでしょ?ずっと、ずっと。」