第1章 柿原徹也 (甘)
『おはようございます。本日はよろしくお願いします。』
「あ、永倉ちゃん!よろしくね!」
『監督!宜しくお願い致します!』
ふぅ、久しぶりだなあ、この感じ
やっぱり少し緊張しちゃうよね
「おはようございます。」
うわぁ、柿原さんだ
やっぱりオーラが違うよね
なのになんで新人の私が共演できるんだろう?
「柿原さん、今回もよろしくね?」
「はい、こちらこそお願いします。」
あ、私も挨拶しなきゃ!
『か、柿原さん!』
「ん?あ、君...」
『え?あ、あの、宜しくお願い致します。』
柿原さん、何か言いかけた?
「あ、いや、なにも...こちらこそよろしく。」
わぁ、柿原さんの手だ
あ、こういう時はちゃんと握手しとかなきゃ!
『はい!宜しくお願い致します!』
手...優しく握ってくれた
やばい、どうしよう、顔絶対赤い~
「愛梨ちゃん...だっけ?」
『え?私の名前知ってるんですか?』
「もちろん。半年前にも共演したよね?」
『はい!私の初作品の時に!』
柿原さんが覚えてくれてる
「だよね...また君と共演できて嬉しいな。」
『え!?』
嬉しい?柿原さんがいま嬉しいって言った?
やばい、私本当に死んじゃいそう...
あ~だめだめ!
そろそろ本番なんだから集中しなくっちゃ!
「では、そろそろはじめまーす!えー37ページのあたまから行きます~」
「はい。」
『は、はい!』
集中!集中!
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「おれ、さ、ずっと前から、」
『ごめん!私...』
「なんで?なんで俺じゃダメなんだよ!」
『ごめん...』
「ごめんじゃわかんねーよ!俺はお前のこと本気で好きなんだよ!!!」
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ビクッ
『あ、あ、』
台詞、台詞言わなきゃ
え、っと、
「ストーップ!永倉ちゃん?大丈夫?」
『あ、すみません!もう一度やらせてください!』
あ~私なにやってんの~!
柿原さんに迷惑かけちゃダメじゃん!
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「ごめんじゃわかんねーよ!俺はお前のこと本気で好きなんだよ!!!」
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『あ、わた、し、』
「ストーップ!」
「ストーップ!!」
「ストーーーップ!!!」