第2章 02
海常高校に入学してから三年目。
新しいクラスメイトに囲まれながらちらりと隣を盗み見た。
隣の席には二年前と同じように座る苗字さんの姿。
苗字さんは苗字さんで友人に囲まれて談笑していた。
また同じクラスになれた事実に喜びが湧き上がってきて、どうしようもなくにやける顔をクラスメイトとの話題を笑い飛ばす事で凌いだ。
二年前、一年生だった頃、苗字さんとは同じクラスだった。
出席番号の関係で席は隣同士。
女子と話す機会が前から多かった俺は当時なんとも思わなかったし、自分から女子と関わる事を嫌っていた。
モデルという職業につられて話しかけてくる女子は今でも多い。
職業でなければ顔につられて近付いてくる子ばかり。
話しかけられれば相手をするが、極力面倒は避けたくて用がない限りは自分から話しかける事はなかった。
別に仕事が嫌いな訳ではないし女の子が嫌いな訳でもない。
ただ揉め事はご免だった。
そんな俺が苗字さんと初めてまともに話したのは、オーラルコミュニケーションという英会話を重視した授業だった。
隣の人と英作文を読み合えと言う教科担当の教師に苦い顔をした俺に、丁寧に対応してくれたのが苗字さんだった。