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【黒子のバスケ】Select me

第7章 07



合宿最終日、早起きをして合宿所を一人後にした。
走る電車に早くと急かす。

黒子に背中を押された夜、監督に頭を下げて一足先に帰らせてもらえる事になった。
俺はバスケを逃げる口実にしていた。
バスケが大切なのは本当の事だが、それを理由に苗字さんから逃げていたに過ぎない。
苗字さんへと募る想いは隠せるものではないと気付かせてくれた黒子には、世話になりっぱなしだなと苦笑した。

本当は仲間の輪の中から抜け出したかった。
その他大勢の俺でいいなんて嘘をついて、友達という殻に籠もっていた。
友達として皆で笑っていれば何も怖いものなんてないと思ってた。
仲の良い関係が永遠に続くんだと思ってた。
友達でいないと苗字さんの無邪気な笑顔は見られないんだと思い込んでいた。

けれど友達のままでは手に入らないものがあると気付いた。
一緒にした勉強も、ヘアアレンジで喜ぶ姿も、他愛ない会話も、二人で聴く音楽も、全部友人として過ごしたかった訳じゃない。
嫉妬から始まり好きだと気付いた時から、苗字さんを一人占めしたかった。


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