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【黒子のバスケ】Select me

第3章 03



それから俺がどうしたのかというと、他の男を苗字さんに近付けさせなければいいと考えついて、暇があればひたすら苗字さんに話しかけた。
朝の挨拶は勿論、苗字さんが手が空くであろう休み時間は死守。
放課後は必ずまた明日と声をかけた。
分からない所があれば勉強を教えてもらい、テスト勉強に付き合ってもらったりもした。
冬に入って始まった長距離走の体育の授業で頑張れとエールを送ったら、黄瀬くんも頑張れと返されて嬉しかった事を覚えてる。
苦手だろうが嫌いだろうが、苗字さんに近付ける要素のあるものは何でも利用した。

努力の甲斐あって、今まで以上に仲が深まってきた気がする。
決して気のせいではないはずで、苗字さんから話しかけてくれる事も増えていた。
次第に苗字さんと過ごすのが当たり前になっていった。

しかしそれで完全に防げる訳もなく、ちらほらと苗字さんの話を耳にした。
どこのクラスの誰々が苗字さんに告白しただの、振られただの、くだらない。
くだらないと内心で一蹴しながらも振られたと聞くとほっとする自分がいた。
もっと防衛線を張らないとと焦っていた。

「もうどうしていいのか分かんないっス」

ウィンターカップを終えた後、再び黒子と出かけていた。
どんなに苗字さんと仲を深めても彼女への好意は絶えない。
噂に聞く限りではだが。
それでも噂は少なからず俺にダメージを与えた。
いつか誰かに取られてしまうのではないかと不安で堪らなかった。



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