【おそ松さん】歪んでいるというには、あまりにも深く
第3章 ただ、愛しているだけです
それから少したって、トド松があやちゃんに別れのメッセージを送ったと知った。
「これでいいよね、もう僕の恋愛ごとに首を突っ込まないで」
そう言って突きつけられた画面に【別れよう】の四文字が見えた。
どうやらトド松は、自分がちゃらんぽらんな事をしている事実に僕が怒ったのだと勘違いしたようだ。
そんな単純な理由だけで、僕が人を殴るわけないのにさ。
長男は別だけども。
それと同時にホッとした。
もうこれであやちゃんは自由なんだと、僕が彼女の幸せを守ってあげたんだとそう思った。
あやちゃんが、おかしくなってしまうまでは...。
それが正しい事で、あやちゃんを幸せにできるんだと本気で思っていた。
今にしてみれば、馬鹿な事だ。
人の幸せを決める事なんて出来やしないのに...。
眠るあやちゃんの頭を優しく撫でる。
「今度はいつ会える?今度はいつ君を抱くんだろう」
彼女の時は止まってしまったんだ。
トド松に別れようと告げられてから、ずっとずっと止まったままで動かない。
何度僕があやちゃんを愛しても、次の日には忘れてしまうんだ。
そして、すでにブロックされて既読のつくことのないメッセージを何回も何回も送り続ける。
僕はトド松のかわりに君を抱く、何度も何度も愛してあげる。
でもそれが時々辛くなる事だってあるんだよ。
「いつになったら、あやちゃんは僕のモノになるんだろうね...」
こんな愛し方しかできない僕、いっそ本当に孕んでしまえば君は僕を思い出してくれるのかな?
それともその腹に宿った子どもをトド松の子どもだと思うのかな?
「どっちにしても、僕らは六つ子だから大差ないよね...」
そう言って溢れ出す涙、もういっそ君を殺して僕も死んでしまいたい。
君の心に残るためにそうした方が楽なのかもしれないね。
「あやちゃん、僕と一緒に死んでくれないかな」
この愛が歪んでるって言うなら、人の倫理に外れたって構わないよね。
どうか、僕だけのモノになって...。
愛してる、愛してるよ...。
あや....。
ーーendー