【おそ松さん】歪んでいるというには、あまりにも深く
第3章 ただ、愛しているだけです
眠るあやちゃんの髪を優しく撫でる。
涙の跡が確りと残っていて、この涙は自分のせいなんだと思うと後悔した。
そしてそれと同時に、やっと僕を見てもらえたんだそう思うと嬉しくて涙が落ちてく。
「ごめん、ごめんね...」
君という存在に自分を残したくて、僕はあやちゃんの心に傷をつけた。
深く深く...。
「僕は、あやちゃんが好きだよ、とってもとってもとっても...」
それでも、君の目に写っているのはトド松だけなんだ。どんなに愛した所であやちゃんの心はトド松だけのもの。
眠るあやちゃんの背中に指先を這わせれば、至る所にある痣。
あやちゃんの白い肌が、黄色や紫や赤で汚されてる。
僕がつけた、全部全部僕がつけた愛...。
「ねぇ、いつになったら僕を見てくれる?」
傷んだ髪に指をとおしながら、そうやって呟いてこれで何度目なんだろう?
前はもっと綺麗な髪だった。
サラサラの長い綺麗な髪、トド松くんの彼女なんだからこれくらいしないとねなんて笑ってたんだ。
「もうトド松は君を見てないんだよ」
我が弟ながら、本当にドライなヤツだよ。
こんなにも自分を想ってくれている人を見捨てるなんてさ。
思い起こせば、いつもの如く兄弟全員でトド松のデートを邪魔してやろうってあとをつけた日。
初めて見たその子は、一言で言えば地味な子だった。
化粧もほとんどしてなかったし、服装も露出が少ない感じで、デートするって感じの服装じゃなくて...。
なんだ地味女じゃんなんて皆で言ってる中で、僕はその子に釘付けになったんだ。
自分と同じくらいの人がいい
そう思ってた僕にとって、君はまさに理想だった。
一目惚れと言われればそうだったのかもしれない。
それからというもの、僕はトド松がデートへ出かける度にあとをつけるようになった。