第1章 【1話】あの時助けた子は、もう高校生です
「ずっと、ずっと会いたかった!」
書類を片手に持ちながら、器用に私に抱き着いてくる。
突然の衝撃に弱い私は、また何が起きているのか理解できなかった。
身体が離れ、視界に満面の笑みが映る。
―そういえば、あの時もこんな笑みを見せてくれたなぁ。
***
私が彼と同じ、高校一年だったころ。
その時は3月の上旬だった気がする。
自転車で学校まで通っていた私は、いつも通り、住宅街を通り抜けていた。
ふと、目の前の空き地で少年が数人の子供に抑え込まれているのを見つけた。
その時はイヤホンをしていたため、声が聞こえなかった。
男の子の遊びってよくわかんないからどうせこれもお遊びの一環なんだろうと、通り過ぎようとそのままこいだ。
でも、何となく違和感を持ち、少し行ったところで自転車を止め、イヤホンを外す。
じっと凝視していたからだろう、抑え込んでいた子供はこっちを見るなり
「こっちみんなよ!」だの
「早くどっかいけよくそ」だの騒いだ。
―あんのクソガキ…
違和感は違かったと走り出そうとしたとき、小さく何かが聞こえた。
クソガキのほうを見ると、焦って下の子をふさごうとしている様子に見えた。
本当に勘だけはいいとよく言われてる。
―ちょーっと、カマをかけてやろう。
自転車を端に止め、空き地に歩いていく。
その様子に一層焦り「こっちくんな」と連呼してきた。
「それ、なんていう遊び?お姉さんにも教えてくれない?」