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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)



『及川、』

綾ちゃんが
国家試験に合格していなかったことは、
いつになく静かに俺に声をかけてきた
木兎から聞いた。

『…そっか。』

そんな展開、予想していなかったから、
一瞬、目を瞑ってしまった。
閉じたまぶたの裏に、
綾ちゃんが浮かぶ。

いつものあの笑顔と、

見たことがないけど
きっと間違いなく、今、そうであろう
がっくりとうなだれた姿。

言ってた。

『うちの大学、現役合格率95%だから
落ちたら悲惨。』…って。



『綾ちゃん、落ち込んでる?』

『次、頑張るから、って。
自分の分の今年の運を俺にやる、って。』

強化選手に選ばれて
どう見ても順調な木兎の前で
綾ちゃんが落ち込むことは
そりゃ、出来ないだろ。
彼氏の吉報に水を差しちゃいけない、
…って、そう、思うだろ。

…俺だって、複雑なんだ。
セッターで強化選手に選ばれたのは
トビオ(と、宮。)なんだから。

一応、
まだチャンスはある俺ですら、
こんなに複雑な気持ちなのに、

結果が不合格だった綾ちゃんは、
どんなに苦しいだろう。

『…オイカワ、俺、どーしたらいいかな?』

俺こそ聞きたいよ、
俺、どーしたらいいんだろ。

『どうもこうも、自分のこと、頑張んなよ。
コタローちゃんが暗くなったら、
綾ちゃん、ますます、辛いじゃん。』

言葉が冷たい、という自覚がある。
だけどホントに、
他にどう言ったらいいか、わからなくて。

『…そう、だよな。』

ここでは、チームメイトで、相棒。
でも、
木兎は、一歩先を行く。

よりによってあっちでは、
トビオが木兎の相棒になるなんて。

…牛若。トビオ。木兎。
結局また、俺はこいつらの影だ。

木兎の気持ちを思いやる余裕は
とてもじゃないけどもてなくて

その分、
綾ちゃんのことが、気になった。

『コタローちゃん、』

太陽の眩しさは、
時として、人の見せたくない部分まで
さらけ出してしまうから。

影を、作ってあげたい。

『…俺、綾ちゃんに連絡してもいいかな?』

こんな時でも、
木兎に義理立てしてしまう。

『…むしろ、こっちから頼むよ。
俺、明日から、合宿で会えねーんだ。
綾の話し相手、してやって。』




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