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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第5章 ~コータロー君の、初シツレン~(木兎 光太郎)




ふくろうの森幼稚園の春。
今日は、特別な1日です。

『う、わぁぁぁぁぁんっ!』

…朝から響き渡る、大きな泣き声。

『あら、この声は…やっぱり光太郎?
そんなに卒園したくないのかしら?
銀色のランドセル、早く使いたいって
ウキウキしてたはずなのに。』

『ママ、違うんだよ。
コータローが泣いてるのは、
卒園したくないからじゃなくてね、』

『賢太郎、じゃあどうして?』

…今日は、ふくろうの森幼稚園の卒園式。
朝は、元気に教室に入っていった
双子ちゃん達だったのですが、

まもなく、双子の弟 光太郎君の
大きな泣き声が聞こえたものだから、
卒園式会場で待っていたお母さんが
すっ飛んでやってきて、

双子の兄、賢太郎君が、お母さんに
その理由を説明しているところです。

『あのね、コータロー、
今、シツレンしたんだ。』

『シツレンって…失恋?誰に?』

『綾先生、ケッコンするから
先生も今日でソツエンなんだって。』

光太郎君が
"早く大きくなってケッコンする!"と
決めていた大好きな綾先生が
今日で結婚退職する、と
今、園長先生が発表したものだから、
光太郎君はショックで泣いているのです。

教室を覗き込むお母さんに気付いて
綾先生が申し訳なさそうに
こっちにやって来ました。

『すみません、コータロー君、
朝から泣かせてしまいました…』

『いえいえ、賢太郎から聞きました、
ご結婚、おめでとうございます!』

先生を追いかけてきた光太郎君が
すかさず反論します。

『オメデトーじゃないっ!綾、
俺とケッコンするって約束したじゃん!』

『そうなんだけど…』

『綾、ウソついたのか?
オレ、フラれたのか?』

『違うよ!
もちろん先生だって
コータロー君のことも大好き。
でも…』

『でも、なんだよっ!』

『…ごめん、待てなかったの。』

『その程度の約束だったのかよ?!
オレはどうしたらいいんだっ!!』

…とても園児と先生の会話とは思えません。
立派な大人の別れ話のようで、
お母さんと園長先生は
笑いを堪えながら聞いてます。

優しい賢太郎お兄ちゃんは、
どうなることかとドキドキ顔。

『ねぇ、光太郎君、』

綾先生は、光太郎君の手を握り、
とっても優しい声で話しかけました。

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