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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第3章 ~痛い、恋 ~ (烏養 繋心)




アイスのカップを持ったまま、
車に乗る。

このまま、ここで話すか…

『ね、ケイ君、』

『ん?』

『あそこ、行こう!』

綾が指差した先は、
夜のカップルのデートスポットの1つ、
アウトレットモール。

『…今から、買い物?』

『ってわけじゃないけど。ね、行こ!』

あまりに明るく誘われるから、
シリアスな話をする雰囲気になれず、
つい、頷いてしまって…

『…俺、夜、初めて来た。』

『そう?買い物しなくても楽しいから!』

店を覗きながらブラブラ歩く。
広場には足湯もあって、
二人で並んで座って靴を脱ぎ、
ズボンをあげてチャポンと足をつける。

ちょっとすると
『あぁ、あったまりすぎた!
ね、冷たいジュース、飲もう!』

綾にひっぱられて、行列に並ぶ。

『…やけにカップルが多いな。』

『でしょ?!だってここはねぇ…』

俺たちの番が来て、
綾が何やら呪文のような難しい言葉で
オーダーした飲み物には、

『…おいっ?!』

恥ずかしくなるような、
ハート型の両端が2つにわかれてる、
カップル用のストロー。

『ね、一緒に飲もう!』

『…俺、38だぞ?』

『年齢制限、ないし!
今日なら絶対、町内会チームにも
見られてないから、いいでしょ?』

ニッコリ笑って差し出されると、
断れなくて。
フードコートみたいなところで
バカみたいにラブラブなストローを間に、
向かい合って座る。

『写メ、撮ってやろうか?』

よく綾は、インスタ用、といって
こういう時に俺に写メを撮らせる。

のに。

『ううん、今日はいい。
ね、それより、一緒に、飲も!』

頬杖をついて、
ハート型のストローに唇をつけ、
反対側を、俺にすすめてくる。

…綾は今まで、
人前で、こんな態度をとったこと、ない。
俺が恥ずかしがると知っているから。


なのに今日は、
何でこんなに強引?


ほぼ無理やり口をつけさせられた
ハート型のストローをくわえ、
すぐ目の前にある綾の瞳を見て、



気付いた。



…これ、今まで、
綾が、やりたかったことなんだ。

俺に遠慮して
1度もやりたいと言わなかったけど、
本当は綾が過ごしてみたかった、
恋人同士らしいこと。
恋人同士らしい時間。

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