第3章 ~痛い、恋 ~ (烏養 繋心)
綾の呼吸が整うのを待って
ペニスを抜き、
そっと湯船におろしてやる。
『疲れたろ?ちょっと浸かってこいよ。』
『待って、ケイ君、まだ…』
まだ、1度も出してない俺のペニスは
隆々と天に向かってそびえたまま。
『俺?俺は、後で。』
『そんな、私ばっかりイッて…
ここで、今…ぇと、その、あの…』
『ん?』
『ゴム、なくても…』
『あ?』
『ナカで出しても…
今日は、多分、大丈夫な日だから』
『なぁに言ってんだ、ダメだダメ。
勢いでそういうこと、言うな。』
『じゃ、その、ほら…
かけて、いいよ、顔とか、胸とかに…』
コラ、と、笑いながら、
コツン、と、軽く頭をつつく。
『お前こそ、
どこでそんな知識、仕入れんだよ(笑)
俺は、後にとっておく。
部屋でたっぷり、抱かせてもらうから、
覚悟しとけ。』
『でも…』
『ゆっくり、愛させろって。
…露天風呂の貸し切りは、一時間だろ?』
ぁ、と小さく驚いた声を出す綾。
『時間のこと、忘れてたか?』
ん、と頷く綾。
いつもは俺よりしっかりしてる彼女。
時間を忘れるほど夢中になってくれて、
俺としては、嬉しい。
…たまには、リードしたいもんな。
『あと15分ある。
俺、先に部屋に戻ってるから、
綾、ギリギリまで浸かってこいよ。』
『ありがとう、じゃ、そうするね。』
『ごゆっくり。
…つっても15分だけど(笑)』
先に湯船からあがった俺に、
後ろから声がかかる。
『ケイ君、ご飯、8時にお部屋だから。
仲居さんきたら、準備してもらってて。』
『部屋食、いいなぁ!』
脱衣所に入ろうとしたら、
また、声がかかる。
『ケイ君、』
『今度は何だ?』
とろけるような笑顔で。
『すっごーく、幸せ。』
…彼女にこんな顔をさせてやれること。
彼女がこんなことを言ってくれること。
素直な言葉に、
こっちまで、素直に幸せを感じる。
『俺も、だよ。』
…あぁぁぁっ。
キャラじゃねぇのに、つい
そんな返事をしてしまう俺。
自分でも、気持ちワリィ。
でも、しょーがねぇだろ、
今日は"特別"だからっ!
恥ずかしくて、
彼女の顔を見ずに、脱衣所へ。
そして俺は、
小さなイタズラを仕掛けて、
先に部屋に戻った。
…どんな顔して戻ってるくっかな?!