第2章 ~コータロー君の、ハツコイ~(木兎 光太郎)
あひる組から、
かわいくて元気な
♪HAPPY BIRTHDAY♪の
歌声が聞こえてきました。
賢太郎君と光太郎君にはこの日、
綾センセイから
お誕生日おめでとうのカードと、
センセイと二人が一緒に写った
写真を入れた写真たてを
ちゃーんと1人1つづつ
プレゼントしてもらったそうです。
9月20日。
賢太郎、光太郎、5歳。
仲の良い兄弟は
この先、ずっと
一緒に誕生日を祝える、と
誰もが疑うことなく思っていた、
そんな、秋の1日。
写真たての中の
かわいい二人の笑顔は
元気で、
明るくて、
優しくて、
嬉しそうで。
光太郎君は後にこの写真を見るたび、
『賢太郎にも、
もっとムニムニさせてやればよかった。』
と、先生を独占したことを後悔し、
でも、
特別な1日だったからこそ
二人並んで大好きな人を分かち合った
この日のことを忘れない、と思い、
そしてこれから先、
大事なものは、
独り占めしないで
みんなで共有しよう、と
心に強く、決めたそうです。
…光太郎君の初恋は、
大事なことを教えてくれた
特別な恋で、
賢太郎君は、
光太郎君の心を
今でもずーっと"ギューっ"してくれる、
大事な大事な、お兄ちゃん、です。