第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)
岩ちゃんの夢を見て
ちょっと楽しい気分で
目が覚めた。
いつもと同じように、朝。
忘れることなく、
サボることなく昇る、太陽。
『…眩しい、な。』
思わずきつく目をつぶると
昨日のことを思い出す。
自分のことを
『クズだ』と言い切った綾ちゃん。
どんな朝を迎えただろう。
木兎は?
彼女として焦燥感でいっぱいの
綾ちゃんのこの先を
どんな風に照らしていくつもりだろう。
俺が考えたって
しょうがないんだけどさ。
…だけど、きっと大丈夫。
大きな目標に向かうために
挫折や劣等感は避けて通れない。
それはみんな、わかってる。
それぞれの曲がり角を曲がったら
また、一緒に歩けるはずだ。
…と、根拠なく思っていた。
でも。
昨日、電話で何気なく交わした
『また、3人で飯食い、行こう。』
という、些細な口約束は、
結局、それから先、
果たされることは、
なかった。