第1章 運命の出会いとは、
この業界に入って6年が経つ、
いろんな番組やドラマに携わって、
いろんなことを学んできた6年
恋愛なんてしてる暇はなく、
言うなら"仕事が恋愛"ってやつ
『椎名さん、大丈夫ですか?
なんか、熱いですけど…』
今回のドラマのヒロインである人気女優の椎名さんの髪の毛を直してる途中、彼女の異変に気付いた
〈だ、大丈夫…ありがとう〉
椎名さんは我慢強いでも有名だけど、
これ、結構危ないんじゃないかな……
『いや、私監督に…っ…椎名さん?』
〈大丈夫だから、大丈夫、大丈夫〉
私の腕を力強く掴んでそう言う彼女
やっぱり本物だった。そう感心してしまう
〈よーし、次のシーンいきまーす!〉
『無理そうだったら言ってください』
耳元でそう囁いて元の位置に戻った。