第1章 運命の出会いとは、
朝から降り続く雨、
春だと言うのに雨のせいで桜は散って、
春はどこかへ飛んでいってしまった。
〈私は運命、信じますよ〉
とはいえ、今はドラマの撮影中
私はヘアメイク担当として現場を見学中で、
"運命"
確か、そんな言葉少し前までよく言ってた
運命なんてバカみたいに信じてて、
自分にはいつか王子様との出会い、なーんて
「ちょっと、ちゃん行くよ?」
『え?あ、は、はい!』
先輩のえみさんにつられてセットの中にいる女優さんのところに走っていった。
(29)
この業界でヘアメイクしてます。
一応まだ、
運命、信じてます。