第21章 サクラ色の再会
『しおりさん、なんか熱いですよ?』
〈ん、大丈夫です。何ともありません〉
今回のヒロインであるしおりさんの
ヘアメイクをしてると異変に気がついた。
これ……あのときと同じだ。
『ちょっと待っててください』
あのときみたいに倒れるなんてこと、
そんなことあったらいけないんだ……
しかも、ここはスタジオじゃなくて、
都内の公園で寒いし…医務室もない。
私はゆっくりと監督に近づいて、
事情を説明した。
〈あ?しおりちゃんが?〉
『はい、体調悪そうなんです』
〈本人は?〉
『大丈夫だっていいますけど、
きっと大丈夫じゃないと思います!』
〈……10分休憩にするから、
君なんか買ってきてあげて?〉
10分……走るしかない。
都内だし、コンビニくらいあるよね?
『ちょっと行ってきます!』
そのころにはもう足が走り出していた。