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繰り返しずっと……【妖狐×僕SS】

第6章 思い出と共に


「姫様、まだ浮いた話のおひとつもないのですか」

「あの……毎年それ聞くのやめない?」

「姫様ともあろう方が男の気配ひとつもなしとは、我々は安心します」

「安心するんだ……あはは」


動きにくい着物を着せられながら

苦笑い

実家はこれさえなければいいんだけど

青眞も今ごろこんな話されてるんだろうなぁ……

密かに思う

この時期だけは、SSと主人は関係なくなる

離れるのも、こういった行事のみだろう

御狐神さんに至っては、長期間凜々蝶に会えなくて死んじゃうんじゃないかと思ってたけど

ちゃんと凜々蝶が連れて帰ったみたいだからよかった

心配なのは、妖館に残った組だけど……

渡狸はカルタがいるからまず大丈夫

ちのちゃんとかも、あのオカマさんがいるから平気だろう

後は……


日和か


朝は寝てるだろうし、夜に一人で出歩かないだろうけど

お目付け役がいないからな

少し不安だ

SSである彼はこの時ばかりは家に帰ったし

素直に帰ったのが不思議なくらい

普段なら静かにキレつつ、強制的に帰しそうなのに


「はぁ……」

「ため息をつくと幸せがなんとやらと言いますね」

「迷信でしょ」

「そうでしょうか……それと姫様、本日はお母様方との食事会です。お久しぶりでしょう?」


あぁ

確かに

なんだかんだでSSになってからは忙しくて

区々にしか会ってなかったから

楽しみだな


「……ねぇ、ちょっと聞いてもいい?」

「はい。なんでしょう?」

「先祖返りの家はサトリ様のコミュニティに参加してるでしょ?」

「その通りですね」

「助け合って暮らせるようにって」

「はい」

「なのにどうして、仲良くできないのかな」


使用人は

答えるのを躊躇う

だけど

私の視線に負けて

口を開いた


「……姫様、織姫と彦星をご存じですか?」
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