第5章 予兆の香り
「違ったんだ。目付きも、表情も…………その場に君がいるかどうかは視えなかったけど、あれは一人が相手できる量じゃなかった」
「……なにそれ」
囲まれてた……?
まずそんな場所に行くこともないし
妖怪が群れるはずがない
そもそものところ
戦闘を目的とした能力を日和は持ち合わせてない
反ノ塚と一緒で
「どのみち、危ないことに代わりはない。どうか、彼女から離れないでほしい。君のためにも、僕らのためにも」
「…………そう、夏目はこう言いたいわけね」
鋭くその相手を一瞥し
唸る
日和を殺せと
「SSとして、主人を殺せっていってんのね」
「……間違ってはないよ。君にしかそれはできないからね」
「…………わかったよ。その時は殺す。でもそうじゃないときは…………」
二人揃って死ぬしかない
「ご忠告感謝します。"本当"が来るまで……それは忘れさせて」
そんな未来を知りたくない