第5章 予兆の香り
前代未聞、なおかつインパクトがでかすぎる帰宅をした蜻蛉は
凜々蝶の許嫁であり、御狐神さんの元ご主人らしい
そして
現カルタのご主人
飛び飛びだろ……こいつのプロフィール
夏目さんとも関わりがあるって……
「……ところで、なんで私たちはこんな変態に拉致られてんのかな?」
「知らねぇよ……」
「僕もわからん……」
「北京ダック!!」
「それしか言わないね!?」
テンションが高いカルタはもうご飯しか頭にないらしい
ぐったりとした日和、苓、反ノ塚を除く学生組は
帰宅しようとした瞬間にこの誘拐犯に掴まった
おかしい……可愛いカルタがいたからといっても
この私がこんな変態に負けるなんて……
最後まで抵抗した私だけれど
学校で変化することもできず
なおかつ無駄に運動神経が良いもんだから易々と捕まってしまった
なんでこんなときに限ってあの二人は察知したかのように一緒じゃないんだ……
「あ、悪いクラスの仕事残してきたから戻る」
「えぇー……ごめん哀兎たち、先帰ってて」
絶対あれわかってたな
苓は絶対わかってたな
危機回避能力すげぇ……
「はぁ…………お腹すいたから良いけど」
「なにか食いたいものはあるか!?どこへでも連れてってやろう!」
「北京ダック!!」
「どこへでもって……本気で地球の反対側まで連れてかれそう…………」
「くそっ、カルタを置いては帰れねぇ」
「僕は早く帰りたい……」
それぞれがそれぞれの感情を持って、この男に数時間振り回されることとなった