第3章 懇親会の夜に
「よかった。二人とも仲直りしたみたいで」
「ピリピリしてたもんな」
「いやー、よかったよかった。お兄さん、涙もろいからさ?酷かったら泣いちゃうところだった」
「反ノ塚何歳だよ」
空から二人の様子を眺めていた私たち三人は
漂いながら帰路につく
「一年更新も珍しいやり方だよね。普通は自立するまでとかなのに」
「あそこは家同士の仲悪いからな」
「いつでも剥がせるようにってことね」
「不憫だよなー。俺絶対無理、心折れちゃう」
「野ばらと対して変わらないだろ」
そうかな
雪小路さんは反ノ塚には辛辣な態度だけど
たまに優しいし
たまに誉めるし
しっかり仕事も全うしてるから
苓とは違う気が……
あ、あと
女の子の話でも盛り上がれるし
「私も女の子のSSになりたかったなー……」
「青眞なら女子にもなれるんじゃねぇの?化粧したら」
「やらないからな?俺は男だからな?どこぞの狸と一緒にするなよ?」
「そういえば始業式で見なかったね」
「まだ帰ってきてないんじゃね?」
「なにしてんだか……」
あの豆狸……
そんなことを話しつつも
さっきの二人の会話でふと思う
「青眞も私のままでいいの?」
「はぁ?何を今さら」
「いえいえ、ふと考えまして」
「良いに決まってるだろ。お前以外に勤まるのかよ」
「あぁ、確かに無理かも。こんなわがまま鼬」
「……いつか仕返しするぞ…………それに」
と、さも不思議そうに答えられる
「哀兎みたいなのの主人なんて、俺以外に無理だろ」
「………………」
貶されたような……
だけど……うん
「……天然の計算高さって嫌だわー。ねぇ?反ノ塚」
「あー、わかるわぁ……落としとく?」
「うん、落としといて」
「おーう」
「ちょっ!待てごらぁ!!」
必要とされてるのは、素直に嬉しい
そう思ったのは、隠しておこう