第29章 捕らわれた未来(2)
(恥ずかしくて出来なかったけど、寝てる時なら……)
出来るかも。
「……………………もう限界」
思いきって、掠めるように一瞬だけ唇に触れると、家康の目が突然パチッと開いて再び唇が重なる。
「ん〜〜っ//////」
驚いて思わず、家康の胸をトントン叩くと短い音を立て、やっと唇が離れた。
「…………焦らしすぎ。こっちが我慢できない」
いつから起きてたの!って言いたいのに、恥ずかしくて言葉が出ないまま私が口をパクパクしていると家康は、声を挙げて笑い出す。
「ぷっくっ、くっ、くっ……ひまりは兎になったり、金魚になったり……見ててほんと飽きない」
「もうっ!じゃあ家康は狸寝入りしてたんだから、意地悪たぬきだからねっ!」
「眠り込んでるひまりを、部屋まで運んだ俺をたぬき呼ばわりするんだ?」
ふ〜ん。と、片手で頭を支えながら意地悪な笑みを浮かべる姿さえも、私をドキドキさせる。
結局、家康には何言っても何しても敵わない。
「ひまりに話があったから、起きるの待ってたら……いつの間にか自分も寝てた」
そう言って家康は苦笑いを浮かべ布団から起き上がる。
「話?」
私も同じように布団から起き上がった。
「……大事な、ね」
家康は短い返事をすると、さっきまでの表情とは打って変わり、真剣な顔つきでわたしの手を取り話しはじめる。