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イケメン戦国〜天邪鬼な君へ〜

第26章 飴細工 前編




会場に着くと、城下町の川沿いに提灯が沢山並べられていていかにもお祭り、って感じの雰囲気が漂っている。道の真中には所狭しと屋台が軒を並べていて、まるで私がいた世界の夏祭りと同じ光景。


「あっ、飴細工屋さん!」


私は一軒の店の前に並べられた、綺麗な形をした飴に夢中になる。


「可愛い〜〜」

「……一個買ってあげるから、選んで」

「えっ、いいの?」

「遠慮しなくていいから、好きなの選びなよ」

「なら……」


家康の優しい笑顔に見守られながら、私は一番気になっていたうさぎの形をした、飴を手に取る。二つ耳が可愛い。一瞬、隣にあった鹿の形にしようか迷ったけど、頭にワサビの姿が思い浮かんで、さすがに躊躇してしまった。


「……ワサビ、食べないんだ」

「もうっ!だからあえて外したのにっ!」

「ぷっ!……冗談」


さっきの優しい笑顔から一変して、意地悪な顔をする家康に私は頬を膨らませる。そんな私の反応に家康は吹き出すように笑うと、持っていたうさぎの飴と鹿の飴を手に取りお勘定を済ませた。


「こっちは記念。食べないでね」

「ふふっ……ありがとう!」

「次。どこ行く?」

「次は〜あっち!!早く早く!」


そんなやり取りをして他の屋台を見て回っている内に、時間はあっという間に過ぎて行く。楽しくて、繋いだ手を離したくない。




(もう、帰らないと…)




自然と歩調がゆっくりに。
私は重たい足取りで、家康と一緒に安土城に向かって歩き出した。





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