第167章 はじまりの物語
「花見デートか?」
私達に気づいた秀吉先輩。
花見は正解だけど……
(でも、デートではないよね?ただの寄り道?)
どう答えようか迷っていると、家康が先に口開く。
「別に。……ただの寄り道です」
「家康とは幼馴染で。ご近所さんだから帰り道も一緒なんです」
「幼馴染……か。団子一本。貰ってもいいか?」
「ちょ!何で真ん中っ!」
先輩は私から団子を受け取ると、家康をベンチの隅っこに寄せ長い足を組んで座った。
「三色団子の完成じゃないか。ひまりはピンク、俺は白、お前は緑」
「ほんとだ!先輩!面白いですね!」
「何で、俺が緑……」
文句を言う家康。
私が瞳の色が翡翠色だから、ピッタリだよ!と言えば何それと素っ気ない返事が返ってくる。
「俺は純粋な白ってね。もちろんひまりは……」
可愛いピンクの桃色。
先輩に耳元で囁かれ、
かぁっ…///っと頬が熱くなる。
「ほら、柔らかい頬が桃色に……」
「か、からかわないで下さい///」
私は慌てて身体を離す。
「男慣れしてない所もまた、……」
「いい加減にしてくれます。ひまりにちょっかい出すの」
私に近づこうとする先輩の腕を、家康が素早く掴む。険しく眉を顰め、明らかに表情は不機嫌そうだった。
「……やっぱりお前は緑色だな。めでたい紅白に邪気を払う」
「団子のうんちく語って、口説くの止めて貰えます」
(口説く?誰を??)
「まぁ、今日の所は大人しく帰ってやるよ。二人の入部楽しみにしてる」
秀吉先輩はご馳走様と今度何か奢るからと言って、桜の花弁のようにひらひらと手を振り、公園の入り口に歩いて行った。