第24章 はぐれた心の先に…(15)R18※
(もう、それだけで充分)
私は何だか身体がむずむずして、落ち着かない気分。もっとくっ付きたくなって、更にぎゅっと家康の腕に身体を寄せる。
「ひまり……甘えてくるのは嬉しいけど、お願いだからもう少し離れて」
頭上から聞こえた声に、慌てて身体を離す。
「ご、ごめんねっ!嫌だったよね!」
調子に乗りすぎた自分が恥ずかしくなって、あたふたしていると何かに躓いて、身体のバランスを崩す。
「わっ!!」
後ろ向いて倒れそうになった時、家康が咄嗟に背中を支えてくれて、何とか倒れずに済む。
(もうばかっ!///穴があったら今すぐ入りたい)
「………はぁ」
家康のため息が聞こえる。
こんなんじゃ嫌われる!
そう思って顔を上げると、目の前に首元まで真っ赤染まった家康が居て……
「……家に着くまで、もたなかったらどうしてくれんの?」
家康は恨めしそうに眉間にしわを寄せ、
私を横目で見る。
「えっ??」
「可愛すぎてもう、無理。……帰ったら覚悟しなよ」
意味が解らないまま、早足になった家康に手を引っ張られ、あっという間に御殿の前までたどり着いた。
「家康様、おかえりなさ……ってひまり様!!」
「ご無沙汰してます。急にお邪魔してすいません」
家康の御殿に着くと、早々に出迎えてくれた女中さんを見て何故か胸がホッとする。
あの時はありがとうございました、と私がお礼を言うと、女中さんは優しい笑顔で首を横に振って「おかえりなさいませ」と、言ってくれた。
「……話は後にして。ひまりは今夜泊まってくから着替えだけ用意してあげて」
「かしこまりました」
「ひまり……急いで用事済ませてくるから」
先に部屋で待ってて。
その家康の甘い声に身体が痺れる。名残惜しそうに繋いでた手を解くと、家康は奥の部屋へと姿を消した。