第24章 はぐれた心の先に…(15)R18※
家康の御殿に着く間、私達はやっと聞きたかった事や、言いたかった事を手を繋ぎながら少しずつ話した。
「呉服屋のご主人さんも女将さんも凄く良い人だったよっ!今度はぜひ二人で来て下さいって」
あの時は、それどころじゃなくてちゃんとした返事出来なかったけど……。私がそう言って苦笑いをすると、家康は一瞬だけ悲しげに瞼を伏せる。
けれど、すぐに元の表情に戻した。
「……あそこは昔からの馴染みの店だからね。今度行く時は一緒に行って、ひまりのこと紹介する」
その言葉が嬉しくて私が元気よく頷くと、柔らかくなった家康の表情。
「……でも、家康がくれた耳飾り見つけれなくて……」
結局、あの時に失くしたまま。
狼に襲われるまでは探してたけど、思った以上に川が深くて真っ暗で、片方すら見つけることが出来なかった。
「約束したのに……ごめんなさい」
私は足を止め、繋いだ手をギュッと握りしめる。すると家康は俯く私の頭を、優しく触れ手の平の上に何かを置いた。
(これ……!!)
自分の手の中にある耳飾りを見て、私は勢い良く顔を上げ、家康を見る。
「また、探しに行かれたら困るから……その代わり約束、もう絶対無茶はしないこと。失くしたら、また新しいの買ってあげるから」
(探してくれたんだ)
離れている間も、私のこと想ってくれてることが何よりも嬉しくて、胸が嬉しさで締め付けられる。
「ありがと。探してくれて、助けてくれて……本当にありがとう」
私は家康の腕にしがみつきながら、頭を寄せる。
いっぱい泣いたし。
辛かったけど、今はこんなにも幸せ。