第167章 はじまりの物語
俺達は案内された裏口から校内に入り、靴を脱ぐと来訪者用と書いてあるスリッパに履き変える。
長い渡り廊下。
誰もいない静かな教室。
「わぁ〜何か歴史を感じる建物ですね!」
「この建物は五百年程、歴史があるからな」
「え!!ご、五百年!!」
「……ひまりちゃんと学校案内見てないの?表紙に思いっきり書いてあったし」
俺が呆れたように言うとひまりは勉強に必死でまだ見てないと、頬を膨らませそっぽを向く。
「まぁ、建物自体は何回か改装されてるからな。残っておるのは、裏庭に建っている石碑ぐらいだ」
「石碑ですか?」
「詳しく知りたければ、案内を見ておけ」
「はい!」
俺の時とは違って、素直に返事を返すひまりに若干苛立ちを感じながら、足を進めると……。
ガラッ。
白衣を着た男が出てきた。
「何だ?休日にわざわざ見学か?」
「はい!」
胡散臭い奴の次は、妖しい奴。
「光秀、珍しく休日出勤か?」
「明日から出張で。では、失礼します」
光秀と呼ばれた男が出てきた部屋の入り口に俺は視線を動かす。するとその部屋の扉には「保健室」と書かれた表札が掛かっていた。
(怪我しないように、気をつけよ)
「明智光秀」