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イケメン戦国〜天邪鬼な君へ〜

第167章 はじまりの物語




神社に着いた瞬間。


(やばいぐらい、居るし)


試験が近づいた大安日。ご利益で有名な神社は人混みで溢れ、初詣並みに繁盛している。

既に酔いそうになりながら……


「うわぁ〜何かすっごいご利益ありそうだね!」


隣で嬉しそうに前向き発言する幼馴染。
俺は、盛大な溜息を人混みに紛らせながら足を進め参拝場へと向かう。


「ねえ、ねえ!後で甘酒呑んで、おみくじしよう!」

「それ、正月だし。参拝したら速攻、帰る」

「え〜〜!!そんなの、来た意味ないよ!」

「……合格する気あんの?」

「……大人しく帰ります」


ひまりは、文句言いたげに口を尖らせ足元に自然と視線を落とす。


(すぐ、拗ねるし)


我儘だし、バカ素直だし……でも、昔から嫌いじゃない。解りやすいから。


俺達は肩を並べ、賽銭を投げ入れ同時に手を合わせる。


(まだ、祈ってる)


必死に手を合わせ真剣に祈る姿を横目に見る。


「きゃーっ!ちょっと、あれ!戦国学園のプリンス様じゃない!?」

「本当!そう言えば何処かの神社の息子さんだって聞いた事が!ここだったんだ!」


その時、周りに居た女が騒ぎ出す。
その声に、嫌でも反応する。


(戦国学園のプリンス?……何処かで聞いたような)


ツンツンとひまりは俺の肩を突き、有名な人なのかな?と騒ぎに気づく。


女に囲まれた、袴姿の男。
顔とその姿を見て俺は思い出す。


「あの人、確か高等ブロックの全国大会で優勝してた……」

「え?弓道の大会で?」

「俺達が受験する戦国学園の人………名前は忘れたけど」

「………秀吉だよ」

「確かそんな……へっ!!」


いつの間にか女達を掻き分け、背後に立って居た袴姿の男。俺とひまりは急に声を掛けられ、面食らったように一歩後ろに下がる。


「戦国学園受けるなら、弓道部に来いよ」

特に、君みたいな可愛い子は大歓迎。


「へ///わ、私ですか」


何で赤くなってんの。
俺はひまりの腕を掴み……


「へぇ……何でプリンスなんて、呼ばれてるか納得。行くよ、ひまり」


引っ張るようにその場を離れた。



「成る程……中等ブロック優勝者はなかなか捻くれてるみたいだな。入部して来たら可愛がってやるよ」




『豊臣秀吉』




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