第166章 天邪鬼な君へ〜集大成〜
信玄が騒がしい場を余り好まない事を知っているひまりはそれだけ告げると、もう一度軽く頭を下げ、今度は信長や謙信の姿を探し始めたが……。
(あれ?何処に行ったんだろう??)
佐助と家康、それに子供達の姿もない事に気付く。
ひまりはドレスの長い裾を持ち上げながら歩いていると、ある姿を発見。
「時姫は俺が一番好きだと言っておるではないか」
「俺に決まってるし」
「今日から俺が一番に変わったな」
時姫を真ん中に囲んでいたのは、信長、家康、謙信の大の男三人。
「いち、ばんしゅき??」
時姫は首を傾げる。
「じぃじは誕生の祝いに、白い馬を一頭用意してあるからな」
「はぁ!まだ乗れないし!俺は、ちゃんとひまりと一緒に選んで手毬を……」
「ならば、俺は後から越後一の職人が作った人形を贈ってやる」
ひまりはその光景にはにかむように笑い、声を掛けるのは後からにしようと佐助と竹千代の姿を見つけ、移動。
「何してるの?」
竹千代と佐助は今朝から準備していた場所で、何やらとコソコソと話し合っていた。
「ちょっと仕掛けを増やそうかと思って、竹千代と決めてた所」
「早くドーン見たい!!」
竹千代はそう言いながら、地面を蹴り大きくジャンプをする。
「ふふっ。本当に楽しみだね!後もう少ししたら、夜になるからそれまで待っていようね!」
「うん!!」
「佐助君もありがとう!忙しいのに作ってくれて」
「火薬系は得意だからね。これを機に忍者から転職しようかと思ってる」
「えっ!!」
無表情でそう言われ、ひまりは佐助の冗談に気付かず間に受けて驚く。
「嘘。俺まだ嘘ついてなかったからね」
「え?皆んなに嘘の文置いてきたんじゃなかったの?」
「……成し遂げれなかっただけで、内容については嘘じゃなかったからね」
ひまりは一体どんな文を置いて来たのか気にはなったが、それ以上聞いてはいけない気がして……打ち上げ前の最終チェックをする佐助の様子を静かに見守っていた。