第166章 天邪鬼な君へ〜集大成〜
「家康?……ま、まだ、駄目?///」
ひまりは、うるうると瞳を潤ませ家康に伺うように尋ねる。ドレス姿では風邪引くからと、お腹の子の事も気に掛け先程家康に渡された羽織を肩に掛けた。
「……まだ、全然足りないから駄目」
俺の全部貰ってくれるんでしょ?
家康はそう言って、誕生日に贈った新しい翡翠の耳飾りに触れ、顎を持ち上げる。
甘いお仕置きは身体も心も熱くさせ。
「ほら、綺麗なお姫様。……目、閉じて」
再びひまりの唇を奪い、甘い台詞を耳元で何度も囁いていると……周りの騒つく声が聞こえ、二人は視線を移す。
「俺の方が似合うな」
謙信から花を奪い自身の頭に乗せ、得意げにニヤリと笑った信長。
「時姫は俺の方が似合うから頭に乗せた」
再びそれを取り返し頭に乗せたまま、冷たい視線を浴びせる謙信。
二人の間に、
赤い火花と青い火花がぶつかるのを見て、家康は頭を抑え込む。
「………やばい、酷い頭痛になりそう」
そして弱ったように、ひまりの肩に寄りかかった。
「だ、大丈夫!あっちでご飯準備してあるから休んでて!今、皆んなを呼んでくるからっ」
(頭に花って……)
目を疑うような光景に家康は再び気分が悪くなり、ようやくイチャつくのを止めた。
「皆さんーー!こっちに来てくださーーい!!」
ひまりの声に武将達は反応。安土組は花を奪った信長を引きずり、春日組は刀を振り回す謙信を引きずった。
ようやく、本来目的だった花見大会が開催される。