第164章 あなたにもう一度〜最終章〜中編
(ちょっと、プレッシャーだったり?)
思わず苦笑い。
ひまりちゃんの驚く顔を見て、私は人差し指を口の前に立てた。
「ひまりさん。こっちも準備完了だ」
「そろそろ、気づいてる頃かな?あんな嘘吐いてきっと怒ってるだろうな……」
自分で計画した癖に。
ちょっと後悔してたりする。
つま先に視線を落とした私に、佐助君は手を引っ張り立ち上がらせると……目線を合わせるように頭を少し下げる。
「嘘を事実にしても、俺は全然構わないけど」
「そんな嘘言っても、私は引っかからないよ?」
「………それは、残念だ」
そう呟いた佐助の表情が、一瞬だけ悲し気に見えた気がした。
「後は、君の着替えだね」
「うん!着替えてくる間、子供達お願いしてもいいかな?」
私は竹千代と時姫に、佐助のゆう事を聞くように伝える。
「母上の花嫁姿早く見たい!!」
「み、たい!!」
「ふふっ。もうお嫁さんになってるからちょっと恥ずかしいけど……楽しみにしてくれてありがとう!」
ここで花嫁衣装を着るのは二回目。
一回目は私の全てを家康に捧げた。
二回目の今日は
あなたにもう一度………
約束したいから。
春の始まりを告げる……
桜が舞い散る中で。
ありがとう。
大好きだよ。
ずっと一緒。
伝えたい言葉は、
今まで沢山伝えてきた。
だから、
今度は私に___下さい。