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イケメン戦国〜天邪鬼な君へ〜

第163章 あなたにもう一度〜最終章〜前編




俺は信長様と一緒に、ひまりが行きそうな場所を虱潰しに探し回っていた。気づけば時間だけが過ぎ、焦る気持ちが隠しきれない状態に。


「く、そっ……ここにも居ない」

「……………」


力無くその場に屈み頭を抱えた俺。


(このままじゃ、効率が悪い。一層の事二手に分かれて探した方が……)


そう思った時、今まで殆ど話すこともなく口を閉ざしていた信長様が静かに開いた。


「家康、何故ひまりは来世に帰ると申したのだと思う?」


「そんな……の」


俺が聞きたいぐらいだ。

複雑な胸中がぐるぐる回り、朝から胃に何も入れず走りっぱなしだったせいか、体力も削られ気分もだんだん悪くなり始めていた。

そんな醜態を晒すわけにはいかず立ち上がり、家康はスタスタと歩き出す。

確かに夢の世で見た来世はこの時代とは大違いで、平和で便利で格差もそれほど無く、暮らしやすい世だったのはこの目で見てきた。


(……向こうは色々行事もあって、だからせめてこっちでも同じようにしてあげたくて)


誕生日も、クリスマスも、この前だってバレンタインだからってチョコレートを真似た物まで作ってくれたし。


ーーはい!ハッピーバレンタイン!

ーーあれ?ひまりにリボンかけてくれるんじゃないの?

ーーもう!変な事ばっかり調べてたでしょ!!普通はそんな事しません!


俺の冗談を真に受けて、結局チョコレート貰えたのは機嫌が直った次の日で。


佐助と暮らしてた夢の世。
殆ど外には出ず家の中で暮らし、パソコンという便利なモノの使い方を学び、佐助の調べ物の手伝いをしながら、日々を送っていた。


ーーなぁ、佐助。この時代にはひまりみたいに危なっかしくて、バカみたいに素直で真っ直ぐな正直モノの女が多いの?


大分生活に慣れてきた頃、
何気なくそんな事を俺は聞いてみた。


ーー確かに危機感は、あちらの時代よりは少ないでしょうね。しかし彼女のようにあそこまで真っ直ぐな人珍しいです。この時代も見栄や嘘で溢れていますから。

ーーなるほど。確かこっちのひまりも、ちょっと誤魔化そうとしたら、嘘つきは泥棒の始まり!とか言って怒られたしね。


ーーははっ。しかし彼女みたいな人こそ、ある日を使って凄い嘘を吐いたりするかもしれません。




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