第23章 はぐれた心の先に…(14)※R15※
家康とひまりが出て言った後、俺は少し曇がかったような気持ちを、吐き出すように息をする。
「捻くれ者の家康と真っ直ぐなひまりなら……ある意味お似合いなのかもな?」
「はい、お二人とも素敵な方ですから。恋仲だと聞いた時は正直驚きましたけど」
いつからだったのですか?と、首を傾げる三成を見て政宗は盛大な溜息を吐く。
「それにしても……信長様は最初から同盟を結ばすおつもりは、無かったかと言うことですか?」
秀吉の質問に俺は言葉を渋る。
最初は家康が決める事だ。
俺自身は如何でも良かった。
顕如が関わっていると知った時も、その気持ちは特に変わってはない。
ただ、ひまりと過ごすうちに何かが変わった……
あの日、庭で走り回る張り子の子の姿が妙に懐かしい気分にさせた。
ーーて、んかとういつ?
ーーそうだ!俺はどんどん上に行くっ!家康ももっと強くなって、俺と一緒に天下をとるぞっ!!
昔のあいつは怯えてばかりいた。
でも必死にあいつは、馬鹿にしてきた奴らを見返すため、力をつけ成り上がってきた。
そして、ひまりと出会い。
あいつの中でひまりの存在は、大きくなり過ぎていた。
(ひまりと共にいれば、あいつは……)
何か新しい道を見つけるだろう。
「……そんな事、今はどうでも良い。それよりも一日暇をやったんだ、明日から家康に死ぬ気で働けと伝えておけ」
俺は羽織をサッと肩にかけ直し、広間を後にする。
「俺のものになれ」
そう、ひまりに告げた時。
あの時の気持ちは……
(当分は誤魔化しておいてやる)
口角を上げ、脇息に体の重心を預けた。