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イケメン戦国〜天邪鬼な君へ〜

第162章 あなたにもう一度(8)後半




「ひまり!」

「家康!」


俺は会場の真ん中で抱き合う、二人を見つめる。


「……手、大丈夫?」

「うん!家康の薬のお陰だよ!扇子は手首使うから無理だったけど、傘なら両手使えたから」


ひまりさんは、そう言って狐の面を外しながら笑い、家康公もそんな彼女に優しい笑みを返す。


「……綺麗だった。稽古、頑張ってるの知ってたのに……ちゃんと応援出来なくてごめん」


ひまりさんはその言葉にゆっくり首を横に振り、最初はこの大会に出場するのに、躊躇していた事を話した。


「……信長様がね。私には自信が足りないからって、良い機会になるからって、背中を押してくれたの」


「自信……?」


新年の集まり時に家康公に側室の話が沢山持ち上がっている事を知り、不安だったことを打ち明けるひまりさん。


「だから、この大会で見せつけてやれって言われて。……『貴様は、徳川家康が他の女に目もくれぬ程、良い女だとな』だって!」


信長様の口真似をする彼女を、家康公はギュッと抱き締め……口元を綻ばせた。


「……あの人らしいかもね。ありがとう、ひまり」

「私は大会で一番になれなくても、家康の一番に慣れたら……幸せだよ?」

「一番どころか……俺には二番も三番もいないから」





ひまりだけ。



月明かりが、重なる二つの影を照らし……会場から思わず溜息が溢れる。二人の愛を邪魔するものは、これを機に減ったのは間違いない。



(まさにラストに相応しい!!!)



俺はこの後、メモを読み返しながら虚しく一人で隠れ屋へと戻った。




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