第162章 あなたにもう一度(8)後半
ひまりが去ってから暫くすると、信長と家康が現れた。佐助は声を押し殺し、耳だけ二人の会話に集中させる。
「……一体、どうゆうつもり?開催場がこの安土城なら課題を決めたのあんただよね?」
「だとしたら、何だ。俺もぜひ娘が咲き乱れる所ぐらい見て……」
「ふざけるなっ!!艶やかさなんか、俺以外知らなくていいし、そんな姿!誰にも見せたくないから!!」
「……貴様はデカくなってからよく吠える。……黙って見てろ。ひまりには、ひまりの戦いがある。それとも何か?信じてやれぬのか?」
「……ほんと腹立つ。昔っから、その何でもお見通しみたいな態度」
「……貴様こそ、いつまで囚われていたガキの頃のままで居る。そろそろ、身体だけでなく器もデカくなれ」
これ以上話しても拉致があかないと思い家康は舌打ちをしながら、姿を消した。
(信長様……やはり貴方は……)
弓術の部が終わった後の信長の話を、佐助は思い出す。
ーー最近、家康の元に仕切りに側室を進め通う者が居てな。ひまりも少なからず気づいておったみたいだ。
彼奴は右から左に流し、相手などしておらんが……それでも女子は不安になる。家康は自分さえ断り無視しておけば、それで良いと思って居るからな。
それではいつまでも、ひまりの不安は拭えん。
今回は側室を狙う女の牽制にもなり、二人に良いきっかけなる筈だ。
(最初から、全ては二人の為に……)
佐助はクライマックスに近づく展開に、
熱いモノを感じていた。