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イケメン戦国〜天邪鬼な君へ〜

第156章 あなたにもう一度後日談(6)後編




私は夕刻にとある姫君が訪ねてくると聞き、特に理由も解らないまま一先ず時姫様が朝御飯を食べられるお手伝いをしていた。


「美味しいでございますか?」

「……おぃちい♡」


(っ////////////)


目を閉じて小さな手で頬を包み込む時姫様。
その愛らしい姿が先程から、心を鷲掴みしてしまい……どんな素敵な女性になられるのか、今からもう楽しみで楽しみで仕方がありません。

お年頃になったらきっとひまり様のようにお美しくなられて、私だけでなく沢山の殿方の心を鷲掴みしてしまうのでしょう。

しかし何故でしょうか?
私はそれが心配でなりません。


(やはり、時姫様のご成長をこの目で見届ける為には長生きしなければ!)


まずは、日頃の疎かになりがちな私生活を見直す所から始めようと、独りでに決意する。


「…ご、ちそたま!」


空になったお皿に向かって時姫様は手を合わせると、立ち上がり部屋の隅に置いてあるお手玉を徐ろに掴む。そしてその場にちょこんと座り、上に向かってきゃっきゃっと声を上げながら遊び始めた。


「沢山食べられましたね。……では、私は膳を下げてきますので暫くお待ち下さい」


時姫様に私はそう伝えた後、膳を持ち上げ出口に向かって足を進める。


(これを置いたら、お召しかえを女中にお願いして御一緒にお庭にでも……)


昼からの予定を立てながら襖を開けた瞬間、足元にふと違和感を感じ視線を移すと……。


「みちゅな、り!いっちょ!」


私の着物の裾を掴む、時姫様の姿。


「へっ!?み、みちゅなり?もしかして私の事ですかっ!?」


思いも寄らぬ言葉に私は、素っ頓狂な声を出してしまう。更に時姫様がコクコクと頷きニッコリと笑うのを見て、危うく膳を手から落としそうになり……寸前の所で止め、しゃがみ込む。


ほっ……。


「いっちょ!いく!」

「ありがとうございます。では、お付き合いお願いします」


私は小さな手を取り立ち上がると、しっかりともう片方の手で膳を抱え台所へと向かう。




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