第153章 あなたにもう一度後日談(5)一日目の夜 後編※R18
寒さの厳しさが増す中。もしかしたら、風太がひまりを見つけているかもしれない。僅かな可能性に期待をして、一旦宿へと向かう。
すると俺を待っていたのか、玄関の壁に寄りかかる風太が居た。
「あっ!家康さん!彼女!河原で見つけましたよ!」
「ほ、ほんとか?」
風太がニコニコ笑いながら頷くのを見て俺はホッと胸を撫で下ろし、安心した途端その場にヘナヘナと情けなく、屈み込んだ。
「はい!もう部屋で待ってますから、お二人で夕餉を楽しんで下さい!僕はこれで失礼します」
風太は去り際に俺の肩を軽く叩き、耳元に口を寄せた。
「彼女、芸者になったら間違いなく都一番の売れっ子になりますよ」
「は?……一体どうゆう」
「僕からのささやかなお詫びです。では、ごゆっくり〜」
風太は手をひらひらさせながら、赤い提灯が灯された町へと戻って行った。
「こちらのお部屋になります」
俺は女将に案内された部屋の前で立ち止まる。
「ひまり?入るよ?」
返事を待つより先に襖に手を掛け、ゆっくりと横にずらす。すると薄暗い部屋の中で、何故か頭を下げているひまりの姿が。
(何で頭なんか下げて……???)
俺が部屋の中に入ると……
「お、お待ちして居りました。だ、旦那様?///」
たどたどしい声でそう言いながら、ゆっくり頭を上げた。