第151章 あなたにもう一度後日談(5)一日目の昼
「家康、あったかぁい」
「ひまり、ちっこい」
何それ?笑いながら顔を横に向け振り返るひまり。
その隙に、俺はそっと唇を重ねた。
「……可愛いって意味」
「っ///それ、何か違うよ?///」
横に結った髪に触れ、今日の髪型も可愛いと言うとひまりは口籠もり照れ臭そうに、もじもじと指を動かす。
(だから、そうゆう所がやばいぐらい可愛いの何で解んないの?)
「可愛い、可愛い、可愛いっ!!」
「わぁっ///解ったからっ!あ、ありがとうっ」
もう一度唇を重ね……。
「い、えやすも格好良いよ///」
だから、いつもドキドキする。そう言いながらぎゅーっと、腕にしがみ付くお姫様の破壊力……半端ない。
「ひまり」
「ん?なぁに?」
「本気で、やばいぐらい好きなんだけど///」
「私のが好きだもん!」
「絶対、俺!!」
「私だってばっ!」
橋の真ん中で周りの目なんて一切気にせずに歩いた。大声でお互い一歩も譲らずに言い合いながら、ようやく歌舞伎座までたどり着く。
桟敷に案内され、ひまりは落ち着かない様子でキョロキョロと首を動かす。
「ねぇ、家康。ここ凄い舞台近いけど、良いの?」
「折角だし、近い方が良いと思って。かなり人気な舞台らしいから、ちょっとしたツテで取って貰った」
「ツテ??」
ある知り合いに頼んだ事を話し、見終わったら紹介するからと伝え……俺達は幕が上がるのを見て、口を閉じる。
見物が、終わる頃。
もう外の景色は暗闇に包まれていた。