第148章 あなたにもう一度後日談(4)後編
「秀吉、雑用でもかまわん。家康に大量の仕事を用意しておけ」
「はっ!(家康悪く思うなよ)」
夕餉を仲良く三人で終え、正月前に開かれる祭りへと出向く。時姫は女中に髪を結ってもらいひまりと同じ花飾りを付け、赤い着物に身を包み俺の首に小さな手を回した。
「時姫、決してじぃじから離れるでないぞっ?」
本来、自分の子でも可笑しくない年齢の孫。しかしこれ程愛しいとは……。
「あ、い!ぎゅっ♡」
時姫は小さな手を上げ、俺の顔にぴったりと引っ付く。
もうそれだけで堪らんくなり、俺の顔が自然と緩む。
「時姫はすっかり、信長様に甘えておる!普段は父上にべったりなのに」
「時姫、俺がいくらでも欲しいものを買うてやる。あんな、ケチな父親に甘えなくて良い」
「???」
「竹千代も手を繋いでやろう。迷子になると大変だからな」
隣を歩く竹千代に手を差し出す。
顔は家康にそっくりだが、中身はひまりに似ていて素直で可愛いやつだ。
(性格も顔も家康に似たら最悪だからな)
竹千代は嬉しそうに俺の手に自分の手を絡め、走り出す。
「こ、これっ。そう急がんでも祭りは逃げたりせんぞ」
「へへっ!今度こそ射的の腕を上げて、父上に勝ちたいっ!信長様、早くっ!!」
「じ、じ!は、やくっ♡」
「わ、わかっておる///」