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イケメン戦国〜天邪鬼な君へ〜

第85章 あなたにもう一度(1)※R18




「……今日、竹千代から聞いたよ?お嫁さんの話」


腕の中でクスクスと笑うひまりを見て、俺は何の話か察し、目線を横に向ける。


「……あれは、あいつが悪い。まだ年頃にもなってない内に、ひまりを欲しがるから」

「ふふっ……張り切ってたよ?父上みたいに立派になるんだっ!って」


そんなに、急がなくてもいいのにね。


そう呟くのを聞き、俺は胸が痛む。



「……ひまり、大事な話がある」



先延ばしした所で何も変わらない。



「五歳になれば、教育係が必要になる」



俺は視線を戻し、正面からひまりを見て、会合での話を話した。



「…………解った。なら、せめて今だけは沢山一緒に居させて」



泣き叫ばれる覚悟で話したが、意外にもひまりは静かに頷いた。

ただ静かに涙を流し、無理やり笑顔を作る姿が……俺の胸を今まで感じたことのない痛みが突き刺した。



母親としての強い思いが、ひまりの本来の思いを閉じ込めている……。




この時の俺にはそれが、解らなかった。




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