第82章 〜同じ気持ち〜姫主視点
「………えっと、お客さんは皆んなの方で……私はおもてなしする方だよね?」
部屋に入るなり、誰が持って来てくれたのかは解らない高級そうな座椅子に座らされ、運んで来たお盆はいつの間にか三成君の手に乗っていて……。
「何を言っている。身重のお前が主役に決まっておるではないか?」
信長様はそう言って、何かを取り出すと私のお腹の上にこれまた高級そうな、絹で出来たタオルの様な物を掛けてくれる。政宗の手には何段か積み重なったお重箱。秀吉さんと光秀さんは何故か私の隣で、座椅子を支える様に膝まずいていて……。
「ひまり、体調悪くなったら言って。……全員、すぐに追い出すから」
家康はまるで皆んなから私を守るように、目の前に座る。そんな様子を幸と佐助君は、口を開いたまま呆然と見ていた。
(な、何か逆に気分が……)
落ち着いていたはずの悪阻が、この変な雰囲気に耐えきれなくなり。
「……うっ」
「ひまり!だ、大丈夫?やっぱりこんな奴らが来たせいでっ……」
口元を抑える私を見て、家康はおろおろと取り乱し背中を撫りながら皆んなを睨みつける。
「医者を呼べ!日ノ国一番の名医者を今すぐ呼んでこい!!」
部屋に信長様の声が響いた。
「秀吉、このまま運んだ方が早そうだな」
「揺れないように気をつけて、運ぶしかない」
すると光秀さんと秀吉さんは、座椅子を持ち上げようと手を掛ける。
「こ、こう言う時は確か書物に心を落ち着かせて、安静にするのが良いと書いてありました!」
「なら三成、唄でも歌え!」
政宗の言葉に三成君は突如歌い出す始末。
そんな中、救世主が現れた。